脳のストレスフルな習慣を変える ~後編~ 

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脳のストレスフルな習慣を変える  

 

ニナ・ゾロトウ ~後編~

 

 

この部分からは、私の投稿Meditation and Brain StrengthA Pathway in the Mindに書いたサムスカーラ(心の習慣)を思い出しました。この投稿をご覧になっていない方のために、こちらにスティーブン・コープさんの 定義するサムスカーラを載せておきます。

 

 

「意識は非常に整った反応のパターンによって支配されているとヨギは発見しました。そのパターンは根深く体にしみついていて、一旦定着すると、変更するのはとても難しいものです。」

 

 

「切望すること、あるいは嫌悪から起こる行動はすべて、ある意識下の感覚を心に残します。この感覚がサムスカーラ、まさに“意識下の活性化因子”です。ヨギはこの意識下の活性化因子を“心のロウ(ロウソクのロウ)”で固めたものと考えることがあります。」

 

 

「サ ムスカーラは小さな線路だとか、軌道、泥道にできた細い轍(わだち)のようなものです。次に車がその道を旅するとき、泥まみれの轍は固まって永久的な 形になり、車のタイヤがそこに滑り込みます。つまりそれを避けるより、その上をそのまま走った方が簡単ということです。」

 

 

私にはコーブさ んがこう言っているように思えます。“ストレスフル”なヨガポーズをするとき、リラックスした状態を保つために呼吸とマインドフルネスを使って、ストレス に反応してしまう癖を止めるために無意識のうちに神経系を鍛え直している、と。さらに、この鍛え直しが日々の生活の中でストレスをもっと効果的に扱う力に なりえるのだ、と。

 

 

「ストレス反応は生まれつき持っている反射作用だから変えられないものと考える方もいると思います。明確にしておきた いのですが、反応は部分的に生まれつきのもので、さらに部分的に幼少期に学んだものです。そう、だからストレス反応はすでに、あなたの初期のオペレーショ ンシステムにダウンロードされインストールされています。さらにこの性質は長年強化されて増長されます。具体的には、とりわけ両親など、周りにいる人たち がどのようにストレスフルな状況に反応するかを自分に吸収していきます。その人たちの反応があなたの神経系に密接に関係していきます。しかし、性質が生ま れつきのもので増長されるとしても、変化に動じないわけではありません。ほとんどの性質は変えられる、あるいは新しい習慣を繰り返し行うことで少なくとも 改善できるものです。」

 

 

困難に出くわしたときに習慣的に「ストレスで参ってしまう」人は、活動的なアーサナの練習をしてみる価値があるよ うに思えます。私はこの方法で自分のヨガの練習に取り組んでいます。怖いと思うポーズ、たとえば部屋の真ん中でヘッドスタンドするときや、私にとって難し くてストレスフルな上向きの弓のポーズ(車輪のポーズ、ウールドゥバダヌラーサナ)などをするとき、恐怖感に立ち向かいます。だから、まさにこの理由で、 難しいけどやりがいのあるポーズ(チャレンジするポーズは人それぞれだと思います)を練習に組み入れることを長年推奨しています。もしまだこの練習方法を 取り入れてなかったら、新しいポーズや苦手なポーズ(ええ、どんな人にもあります)をするとき、またひとつのポーズをいつもより長くホールドするときに、 自分がストレス反応を起こしていることに気付いたら、呼吸をゆっくりと行うこと、特にゆっくりと息を吐くことに集中しましょう。手ごわいポーズを楽しく行 う感覚を作り出すだけでなく、もっと落ち着きをもってストレスに対処するために神経系を鍛え直しているのだとわかっておくとよいでしょう。

 

 

さて、コーブさんが‘ヨガ’がどのように効くかひらめいたことについて良い点をあげましたが、辛口批評に戻るとしましょう。コーブさんがすべて見当をつけた上で、こう締めくくっているからです。

 

 

「朗 報なのは、ヨガの練習のためにクラスに行く必要がないことです。ほとんどの方がヨガと聞いて思い浮かべるポーズは、アーサナ(Asanaはポーズと訳される)の練習と呼ばれる特殊なヨガの練習方法に過ぎません。アーサナの練習は独特の方法で行う人の気持ちをかき立てますが、人生そのものはたくさんのチャレ ンジを与えてくれます。」

 

 

さて、ドクター、ありがとうございました。私はまだポスドク(博士研究員)過程を終えてすらいませんけど! あなたが一人の先生の数回のクラスだけでヨガについて必要なこと全てを学んだとは何よりです。一方、私はというと、数十年もヨガのクラスを受けていて、文 献を読んで自分で勉強を続けています。生活の中で困難な場面に立ち向かうとき、呼吸法やマインドフルネスで神経系を鍛え直すことができることには賛同しま すが、もっぱら‘ヨガ’をヨガクラス以外でも練習するとき、それだけがヨガではないと確信しています。私は科学者のDr.ラムラオにこの記事をどう思うか 伺いました。この方はポスドクを修了されただけでなく、ヨガ指導者になるトレーニングも受けています。彼の話はこちらです。

 

 

人々がヨガを練習するのは、自身の挑戦のためだけでなく、ヨガの総合的な大きくて深い効果を得るためです。この効果は他の人生の場面からは得られません。

 

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翻訳:松元頼子/ 校正:柳原としこ

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